今日はこの糸がいい|水面に浮かぶ月と、淡い夢が混じる糸色

この記事で紹介している糸の画像
虹色金グラデーションラメ刺し子糸|虹色工房1chi.

百貨店の催事の片隅で出会った、染め作家さんの糸。

色落ちたような深みのある紫から、どこか冷たさを残した淡い青へ。

光の加減で、ところどころ潜んだちいさな金のラメが、消えそうにチラチラと輝く。

何度も何度も、丁寧に染めを重ねたからだろうか。

手に取ったとき、糸の撚りが少しだけゆるくなっていることに気づいた。

既製品のように均一ではなく、どこか頼りない佇まい。

扱いやすくはないかもしれないけれど、その不揃いな優しさに触れたとき、

「あ、これはわたしが手に取らなきゃ」と思った。

紫陽花刺しのコースターの画像
紫陽花刺しのコースター

ほどけてしまいそうな糸をなだめるように、そっと針を通す。

選んだ文様は、紫陽花刺し。

縦、横、斜め。

針目をいくつも潜らせていくたびに、ゆるい糸がふんわりと布の上で膨らみ、優しい影をつくっていく。

強く引き過ぎれば、繊細な表情が消えてしまう。

だから今日は、いつもより少しだけ手元を緩めて、糸の機嫌にゆだねてみた。

出来上がったコースターの上で、大人びた紫が影になり、淡い青が光になり、金がひそかな光をひろう。

整った完璧な糸じゃなくてもいい。

歪さも、頼りなさも、全部抱えて針を動かす時間が、今日のわたしには、とても愛おしかった。

この記事をかいた人
Kurage

43歳主婦
刺し子をはじめて数年、その奥深さに震えています。
海にそばに住んで、たゆたう月を眺めて15年。
刺し子のこと、のんびり暮らしを言葉に紡いだ、雑記ブログ

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糸の記憶
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