
倉敷美観地区の少し奥、静かな小路に佇む小さな手芸雑貨店。
そこの店主・染め作家さん生まれたその糸は、やわらかなベージュのなかに、ぽっと陽が差したような黄色と、淡い暖かな桃色がひそんでいる。
派手な主張はないけれど、まるで秋の午後の、やわらかな日差しそのものを手繰り寄せたような温もりが感じられる糸。
白い晒しの上に針を走らせると、舞い落ちるイチョウの葉に黄色が宿り、
そのすぐそばで、ささやかに射し込む桃色が、まるで花のように控えめな輪郭を描いていく。
水面に映る秋の影や、川の流れをなぞる灰色の針目。
その静かな背景があるからこそ、
糸が気まぐれに見せる陽だまりの色が、よりいっそう愛おしく浮かび上がってくる。
均一に染められた糸では決して出せない、
ひと針ごとに表情を変えるグラデーションの揺らぎ。
手繰るたびに手元でふっと明かりが点るような感覚に、遠く離れた倉敷の風と、あの静かなお店の雰囲気が部屋のなかに満ちていく。
ような気がする…いつか、行ってみたい。
整いすぎない色のグラデーションに身をゆだねて、季節の移ろいを針目に託す時間が、なによりも愛おしい。
針目を潜らせる感覚と、秋の空気。
あの静かな時間を、BGMに乗せて。


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