
手芸店で見つけた、オリムパスのラメいり刺し子糸。
パッと見は、どこまでも清らかなただの白い糸。
けれど針に通して布の上を走らせると、光の角度によって「チラッ」と小さな銀の煌めきが顔を出す。
この糸を初めて手にしたときからずっと、やりたかったこと。
それは「まっしろな生地に、この白ラメ糸を重ねる」ということだった。
花嫁さんの背景に描いた、雪輪(ゆきわ)の文様。
鮮やかな赤糸や白い針目が描く世界を邪魔することなく、影の立て役者としてそっと背景を支えてくれる。
遠目で見えれば、ただの白い背景に見えるかもしれない。
けれど、手元に寄せて、光をかざした瞬間だけに立ち現れる微かな銀の影。
誰かに誇示するためでも、遠くから目立たせるためでもない。
刺している自分だけが知っている、手元数センチの距離でしか届かない密かな煌めき。
近くで見ないとわからないからこそ、それは自分と布のあいだだけに存在する、とてもささやかで贅沢な瞬間なのだと思う。
白の晒しの上に重なる、密かな光と音。
あの静かな時間を、映像の中に閉じ込めて。


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